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忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love&Peace 2011年5月2日

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5月2日は忌野清志郎さんの命日。

18歳の時、初めて清志郎さんを生で見た時の衝撃は忘れらない。ジョン・レノン・スーパー・ライヴに初めて行った時、出演していた清志郎さん。名前と顔を知っている程度だった。
まず「ベイベー」とか「イェー」とか話す言葉の語尾に入れる人が本当に存在するんだと思った。
そしてGibsonのJ-200を抱えた姿。本当に似合っていて、見とれるぐらいかっこいい。その日からJ-200は僕の憧れのギターになった。アコースティックギターをがんがんに歪ませてソロを弾いていたのを見たのは清志郎さんが最初で最後だ。
何よりも胸にずんずん来る圧倒的な声、歌唱力。ライヴで国内外の様々なロックヴォーカリストの歌を聴いてきたけれど、清志郎さんが一番なのは今後も変わることがないと思う。

その時に演奏された日本語イマジンが入っているRCサクセションのCOVERS、遺作となってしまった夢助というアルバム以外は清志郎さんが亡くなってしまうまで殆ど聴くことはなかったけれど、大きく影響を与えてくれた人だ。

そんな人が亡くなるなんて思いもしなかったから、2年前に訃報を聞いた時のショックは相当なものだった。

二年経って、今回のライヴが企画された。
ずっと行こうか迷っていた。どんなことがあってもそこに清志郎さんが出ることはない。
でもあの完全復活祭に行かなかったことへの後悔が僕をその場所へと導いた。

武道館に着くと、大音量でRCサクセションやソロの曲が流れていた。これだけでも来て良かったと思えた。
暗転して、映像が始まった。清志郎さんが自転車で武道館に向かっている。到着し、自転車と共にエレベーターに入る。
そこで映像がRC時代に切り替わり、チャボさんらと共に舞台袖に移動し準備をしている様子が映る。チャボさんは先にステージ上へ。清志郎さんはアキレス腱を伸ばしてさらに入念に準備をしている。
もはや清志郎さんが出てくるとしか思えない状況だった。しかしそれは絶対にありえないことだった。
「OK,チャボ!」
舞台上の本物の仲井戸麗市さんがあのDコードでカッティングを始めた。
思わず舞台上を探してしまう。奥田民生さんや斉藤和義さんの姿が見える中、本来そこにいるべき人の姿はなかった。代わりに歌い始めたのは宮沢和史さんだった。覚悟していたとはいえ正直がっかりした。
いるはずなのにいないという事実を改めて突きつけられた僕の目は涙で湿った。
初めて生で聴く「雨上がりの夜空に」。涙でよくステージ上は見えなかったが、曲に合わせて周りの人たちと共に歌い拳を突き上げた。

舞台上にいたアーティストは去り、バンドとチャボさんがだけが残り「激しい雨」が始まった。
この曲は清志郎さんとチャボさんが最後に共作した曲だった。「RCサクセションが聴こえる」という歌詞があって、それを一人で歌うチャボさんを思ったらまたボロボロきてしまった。また一緒に歌いたかっただろうな。

コーラスのLeyonaさんがステージ中央に出て、「Sweet Soul Music」と「ダンスミュージック☆あいつ」を歌う。
とてもハスキーで色気のあるダンスミュージック。そんな声で「もっと強く抱いて 二度と離さないで」と歌われてはたまらなかった。
最後はサックスの梅津和時さんが前に出て楽しそうに吹きながら踊っていた。完全復活祭と同じく「ダンスミュージック☆梅津!」と歌われていた。

深い御辞儀をして、RCでコーラスをやっていた金子マリさんが登場。
年を重ねた深い歌声。あんな声を出せる人はそうはいない。
「Midnight Blue」では息子の金子ノブアキさんとKenKenさんの兄弟がサプライズ登場し一層迫力ある演奏を見せてくれた。
彼らのことは小さい時から知っているとチャボさんが言っていた。有賀幹夫さんの清志郎展で見たRCのライヴ写真に幼いころの二人が写っていたのを思い出した。
この日のバンドはとても平均年齢が高いせいか、彼らの若い力の溢れる演奏が際立っていた。RIZEを久しぶりに聴きたいと思った。

早くも「JUMP」のイントロが流れ出して、清志郎さんを真似たジャンプを決めながら斉藤和義さんが登場。
もしかしてハンドマイクかと思ったがやっぱりギターを抱えて歌ってくれた。
MCでは「おーいえー」といつも通りゆるく、「清志郎さん、まだ替え歌怒られちゃいますよ」と一連の騒動をネタにして笑いを誘い「ドカドカうるさいR&Rバンド」をシャウト。
本物のロックンローラー、歌うたいだった。

続いてトータス松本さん。
「すべてはALRIGHT(YA BABY)」で会場を一つに。ほんとに凄いのは来ている人が大声で合唱するところだ。トータスさんもそれに負けじとシャウトしていた。歌い方やマイクパフォーマンスも清志郎さんによく似ていた。
ファンからもアーティストからも(恐らくは同じ目線なのだろう)忌野清志郎という人は愛され、歌そのものも愛されていることを胸にずんずん感じてまた涙が出てきてしまった。

ここから舞台がアリーナ後方に作られたアコースティック中心のサブステージに移動した。南側のスタンドにいた僕には後ろ姿しか見えないけれど距離はとても近かった。
一番に登場したのは泉谷しげるさんだった。足を引きずる姿さえも本当に貫禄がある。
アコギ一本で「雨上がりの夜空に」を歌い出すも、途中で「忘れちった」と中断。「お前らが覚えてるんだからお前らが歌えば良いんだよ!」と観客に怒鳴り散らす。
そして「サマータイム・ブルース」を歌ってくれた。原発に反対したこの歌を本物のプロテスト・フォーク・シンガーが歌ってくれるのは重みが違った。
「日本の原発は安全です。なら何でお台場に作らねぇんだ石原ァ!一家に一台コゲンパツ作れェ!」
そしてギターをスタッフに放り投げ(本当に投げていた)、アカペラで「ラブ・ミー・テンダー」を歌いあげてくれた。
たくさん笑ったおかげで僕の涙も収まってきて、ようやく落ち着いて見れるようになった。

続いて黄色い声援と共にゆずが登場。ゆずと黄色い声援はもはやセットである。
路上時代から歌っていたという「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」、昨年のジョン・レノン・スーパー・ライヴでもワンフレーズだけ歌っていた「イマジン」をやってくれた。
ゆずに清志郎さんの曲は合っていると思った。愛のある歌い方だった。

真心ブラザース。
彼らについては「拝啓、ジョン・レノン」という曲しか知らなかったが、何か男気のあるお兄さん二人でとても良かった。
フォーク時代の名曲「ファンからの贈り物」と「2時間35分」をアコギ二本で歌ってくれた。

サンボマスター。
シンプルなドラムセット、リッケンベースに青いエレキギターで人気曲「トランジスタ・ラジオ」。みんな歌っていた。そして「世界中の人に自慢したいよ」を歌ってくれた。
忌野清志郎を自慢したいよ、と歌っていた。僕らも同じ気持ちだった。

舞台がメインステージに移り東京スカパラダイスオーケストラ。
5月2日はスカパラの初代ドラマーである青木達之さんの命日でもあるらしく、気合いが入っていた演奏をしてくれた。
今のドラマーの茂木欣一さんは叩きながら「トランジスタ・ラジオ」を歌っていた。

サブステージに置かれたキーボードの前に原田郁子さんが座っていた。
知られざる共作と言って「銀河」という曲を演奏してくれた。歌詞は少なく、音の世界が独特だった。
とても静かな演奏だったにも関わらず、演奏中にステージ近くを歩く人が多く残念だった。

そして清志郎さんと同郷であるハナレグミは「多摩蘭坂」をエレキギター一本でしっとりと歌った。
この人が歌うしかない選曲だったと思う。

続いて浜崎貴司さんと高野寛さんが現れた。
アコギ二本で「君が僕を知ってる」。最近、とても好きになった曲だった。
何から何まで君がわかっていてくれる、なんて温かい歌なんだろう。
高野寛さんはハミングバードを弾いていた。高橋幸宏さん中心のPUPAや細野さん界隈でよく名前や姿を見ていたが、歌っている姿を見るのは恐らく初めてで、自分と同じギターを使っていたのが嬉しかった。
浜崎貴司さんは「二人でアコギを持ってゆずみたいだけどゆずじゃありません」と何度も言って笑わせてくれた。彼の作る音楽も聴いてみたいと思った。
そしてみんなで歌いましょうと「デイ・ドリーム・ビリーバー」をやってくれた。
オリジナルを超えた替え歌。こんな風に歌ってもらえた清志郎さんのお母さんは幸せだと思った。

浜崎貴司さんの呼びかけでみんなで「アッコちゃん」と叫び呼んだ。
すると腕を横に振りながら矢野顕子さんが階段を登ってステージに上がってきてくれた。
「年を重ねてちゃん付けで呼ばれるのは嬉しいです」と笑っていた。
そして「恩赦」を歌ってくれた。本当に楽しそうにピアノを弾いて歌う人だ。
初めて使う機材だからよくわからない、なんて言いながら調整をして、清志郎さんとよく一緒に歌っていた「ひとつだけ」をやってくれた。
とても良い曲だった。

サブステージのライヴはこれで終了。
スクリーンには竹中直人さんによる記念グッズの紹介映像が流されていた。そこには清志郎さんの息子である竜平くんも出演していた。清志郎さんの若いころの面影を少し感じた。
竹中直人さんは僕の斜め前方の最前列に座っていた。その何個か隣には箭内道彦さんの姿もあった。
続いてスクリーンにはとても多くの著名人のコメントが流された。志磨遼平さんや吉井和哉さんも映っていた。
この時間は前にもあり、二回に分けられていた。多くは「忌野清志郎、Love&Peace」と言うだけだが、三浦友和さんなど関わりの深い人は長めにコメントがあった。
黒柳徹子さんが涙をこらえ声をふるわせて「あなたは本気だったんですね」と原発を反対していた清志郎さんに真面目に向き合えなかったことを謝っていた。
我らがオノヨーコさんは「ジョンの歌を最も感動的に歌ってくれた」と感謝していた。その通りだった。

メインステージには宮沢和史さんが現れ「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」を歌った。
真面目な人が一生懸命に歌っている感じだったが、それ以上のものはなかった。

続いて待ちに待った細野晴臣さんが高野寛さんと一緒に現れた。
出てきたのにあまり気付かれていなかったが、スクリーンに映った途端どよめきが起こった。
酷く体調が悪そうで、「季節のせいか放射能のせいか・・・清志郎待っててくれって感じかな・・やろうか。」と清志郎さんが作詞で細野さんが作曲した「幸せハッピー」を歌ってくれた。
前日はHoSoNoVaライヴだったせいか本当に声がつらそうだった。でもこの曲の持つ力は大きかった。
バンドもこの音頭調の曲を素晴らしく演奏し、僕らの手拍子も完璧だった。

そして会場が久しぶりにロックな雰囲気になると、YUKIさんが登場した。
ダンスもセクシーで、ルックスも声も良くて人気がある理由がよくわかった。「自由」と「不思議」を歌ってくれた。
バンドの演奏も煽ってヒートアップしていく存在感が凄いと思った。

いよいよ奥田民生さんが登場して、「スローバラード」を歌った。
凄い声量とシャウトだった。感動した。
「この曲を聴いてこの仕事をやりたいと思ったけど、現実は少し違う。半分ぐらい違う?」なんてチャボさんに目配せしつつ笑いを誘い、「チャンスは今夜」を歌った。
Check!Check!Check Tonight!で会場は大盛り上がりとなった。

そしてザ・クロマニヨンズ。
ヒロト&マーシーというやつを見るのは初めてで、僕はあまりに舐めていたことを反省した。
ギターもヴォーカルも完璧だった。
真島昌利さんはキースのバンダナを巻いて弾き方もキースだった。当然それはチャボさんにも似ていた。
「ROCK ME BABY」と「ベイビー!逃げるんだ。」を立て続けに演奏した。4人のバンド編成。圧巻だった。
そして「いい事ばかりはありゃしない」を歌ってくれた。金が欲しくて働いて眠るだけ。
これも大好きな曲で、彼らが演奏してくれて良かった。
甲本ヒロトさんは「いよいよ忌野清志郎の登場だ!」と叫んでステージを降りた。

始まったのは清志郎さんの武道館ライヴを次々に映した40分間の映像だった。
映像であっても、本人の存在はなくてはならなかったということだろうか。しかしやっぱり生の声を聴きたかった。

そしてバンドが再び登場し、チャボさんと金子マリさんとLeyonaさんによる「ブン・ブン・ブン」が始まった。いよいよこのライヴもフィナーレへと向かっている。

続いて奥田民生さんとトータス松本さんと斉藤和義さんが揃って出てきた。
トータスさんが「清志郎さんの映像を見て怖気づいてしまいましたが、中年三人で頑張って歌います」と言った。
本当に怖気づいている感じだった。誰だって清志郎さんに敵うはずはない。

会場全員で、「OK,チャボ!!!」と叫んだ。
チャボさんがDコードのカッティングを始めた。始まりもこの曲だったが、やはり最後はこの曲しかなかった。
「雨上がりの夜空に」
始めの時は涙で見えなかったけど、今度は本当に楽しめた。みんなで元気に踊り歌った。
「マイベストフレンド、アワーベストフレンド、忌野清志郎に大きな拍手を!」
チャボこと仲井戸麗市さんが叫んだ。

スクリーンには清志郎さんのレコーディング風景と共に「毎日がブランニューデイ」が流された。
清志郎さんが作詞でチャボさんが作曲した曲だ。
残された僕達のためにあるような曲だった。
「75%は忘れてしまった」「でもいいのさ」「君がいつもそばにいるから毎日が新しい」
僕達は100%以上の幸せを感じて生きていくべきなんだと思った。
「愛し合ってるかい?」と訊かれたら、いつも「イェー!」と応えられるように。

Love&Peaceに溢れた6時間のロックン・ロール・ショーはこうして終わった。
忌野清志郎という人がどれだけ愛され大きな存在だったかということを強く感じた。僕はその死をもしかしたらずっと受け入れられずにいて、行き場のないものを抱えていたのかもしれなかった。
ライヴや音楽で泣くことなんて全くなかったけれど、これだけ涙が出たのはそういうことだったのだと思う。二年間溜め込んでいたものが一気に溢れだしてしまった。
忌野清志郎さん、ありがとう。
僕はあなたを世界中の人に自慢したいです。


『忌野清志郎ロックン・ロール・ショー日本武道館Love&Peace』
2011年5月2日

<BAND MEMBER>
仲井戸麗市(Gt) / 新井田耕造(Dr) / 藤井裕(Ba) / Dr.kyOn(key)
梅津和時(A.Sax) / 片山広明(T.Sax) / Leyona(Cho)

01.「雨あがりの夜空に」斉藤和義 奥田民生 トータス松本 高野寛 浜崎貴司 宮沢和史 ゆず
02.「激しい雨」仲井戸"CHABO"麗市
03.「Sweet Soul Music」Leyona
04.「ダンスミュージック☆あいつ」Leyona
05.「ラッキー・ボーイ」金子マリ
06.「Midnight Blue」金子マリ 金子ノブアキ(RIZE) 金子賢輔KenKen(RIZE)
07.「JUMP」斉藤和義
08.「ドカドカうるさいR&Rバンド」斉藤和義
09.「すべてはALRIGHT(YA BABY)」トータス松本
10.「よそ者」トータス松本
11.「雨あがりの夜空に」泉谷しげる
12.「サマータイム・ブルース」泉谷しげる
13.「ラヴ・ミー・テンダー」泉谷しげる
14.「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」ゆず
15.「イマジン」ゆず
16.「ファンからの贈りもの」真心ブラザーズ
17.「2時間35分」真心ブラザーズ
18.「トランジスタ・ラジオ」サンボマスター
19.「世界中の人に自慢したいよ」サンボマスター
20.「危ない二人」東京スカパラダイスオーケストラ
21.「トランジスタ・ラジオ」東京スカパラダイスオーケストラ
22.「銀河」原田郁子
23.「多摩蘭坂」ハナレグミ
24.「君を呼んだのに」ハナレグミ
25.「君が僕を知ってる」浜崎貴司+高野寛
26.「デイ・ドリーム・ビリーバー」浜崎貴司+高野寛
27.「恩赦」矢野顕子
28.「ひとつだけ」矢野顕子
29.「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」宮沢和史
30.「うわの空」宮沢和史
31.「幸せハッピー」細野晴臣
32.「自由」YUKI
33.「不思議」YUKI
34.「スローバラード」奥田民生
35.「チャンスは今夜」奥田民生
36.「ROCK ME BABY」クロマニヨンズ
37.「ベイビー!逃げるんだ。」クロマニヨンズ
38.「いい事ばかりはありゃしない」クロマニヨンズ
《映像》
39.「よォーこそ」『RC SUCCESSION AT BUDOHKAN』 1981年より
40.「ドカドカうるさいR&Rバンド」『THE KING OF LIVE』1983年より
41.「可愛いリズム」『Family Stone Tour』1989年より(未発表)
42.「エンジェル」『Family Stone Tour』1989年より(未発表)
43.「上を向いて歩こう」『Family Stone Tour』1989年より(未発表)
44.「ドカドカうるさいR&Rバンド」『Family Stone Tour』1989年より(未発表)
45.「JUMP」『忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館』2008年より
46.「いい事ばかりはありゃしない」『忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館』2008年より
《ending》
47.「ブン・ブン・ブン」仲井戸"CHABO"麗市 金子マリ
48.「雨あがりの夜空に」仲井戸"CHABO"麗市 金子マリ トータス松本 奥田民生 斉藤和義
《映像》
49.「毎日がブランニューデイ」レコーディング風景を中心とした編集映像
《end roll》
50.「ロックン・ロール・ショー」RC SUCCESSION
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by modsmiley | 2011-05-11 01:27 | 音楽